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ザ・スーパー・ポップ宣言

ウォール・オブ・サウンド 音壁の世界(1)

ウォール・オブ・サウンド 音壁の世界(1)

THE WORLD OF "WALL OF SOUND"(1)

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60年代ポップスの黄金時代に数多くのヒット曲を生み出した偉大なる音楽クリエイターのPHIL SPECTOR。なかでも彼の生み出した分厚いサウンドは「WALL OF SOUND」(訳して音壁)と呼ばれ、その後の音楽シーンに多大なる影響を与えました。このページはそんなフィルスペクターに影響を受けた素晴らしい楽曲の数々を紹介するページです。「音壁(ウォール・オブ・サウンド)掲示板」はこちらとなります。

【 ポップ偏差値 80

中島みゆき / 悪女 (2021 ウォール・オブ・サウンド・バージョン) '21 演奏・編曲・プロデュース/@otokabe_master



【原曲】歌・作詞・作曲/中島みゆき 編曲/船山基紀
【2021 ウォール・オブ・サウンド・バージョン】歌/中島みゆき 演奏・編曲・プロデュース/@otokabe_master

往年の大ヒット曲で中島みゆきの代表曲を2021年に新たにウォール・オブ・サウンド・バージョンとして作成したバージョン。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲となります。ポップ偏差値上限75とその限界を超える音楽にも書きましたが、本曲は約18年かけて1600曲以上紹介してきた当ブログにおける偏差値の上限である75を遥かに超越する偏差値80の曲、つまり個人的には現存するあらゆるポピュラーミュージックの最頂点に立つ史上最強の曲と評価しています。

本曲のオリジナルは1981年に発表されたシングル曲。ジャンル的にはいわゆるフォークソングで、泣かせる歌詞に稀代のメロディメーカー中島みゆきによる日本人の琴線に触れまくりな情緒的でキャッチーなメロディ、アコースティックで繊細なサウンドが特徴的です。また船山基紀氏によると思われるエコー感のあるピアノの音色も大きな魅力となっており、そこはこの曲の持つ音壁的側面でもありました。個人的にも長年愛聴してきた大好きな曲でありましたが、音壁的側面が垣間見えるゆえに「この曲が本格的に音壁化されたらどんなに素晴らしいことだろう」という想いが長年の間蓄積しておりました。曲自身が長年音壁化を待っていた・・・と考えるのはロマンチック過ぎるでしょうか。(船山基紀氏は本ブログで、やはり音壁なアイドル名曲「荻野目洋子 / 2Bの鉛筆」「若林加奈 / COOL~アナタガタリナイ~」が既出です。)

@otokabe_master氏の手による本曲はオリジナルの静かでアコースティックな曲調とは異なり、超ド派手なウォール・オブ・サウンド仕様。しっかりとしたリズムを刻むドラムとエレキベースが入る点がオリジナルと大きく異なり、一聴すると軽快なロック調です。他にもピアノ、ハープシコード、アコギ、12弦ギター、エレキギター、ストリングス、ティンパニ、グロッケン、スレイベル、カスタネット、タンバリン、ヴィブラスラップ等、高音域~低音域まで幅広く様々な楽器が配備され、将に怒涛の如く分厚い音の壁が迫って来る内容。これだけ多くの楽器が使われているという事実だけでも気合の入り具合がお分かり頂けるのでは.

ピアノが高らかに鳴り響き始まるイントロは、軽やかに響くカスタネットの連打音を伴い実に華やかで、いきなり音壁全開です。基本、切なく胸をうつピアノのフレーズはオリジナルを踏襲していますが、全編通してエコー感たっぷりに様々な表情で軽快に鳴り響き、アコギに取って代わって効果的に主役的役割を果たしています。比較的おとなしめのAメロでは綿密に練られた綺麗に響き渡るカスタネットの音色が実に心地よい。その空間的拡がりのある繊細な響きは音壁の歴史を振り返っても最上位に位置する出来栄え。サビでは、優雅で品のよいストリングスや軽やかでなだらかなピアノ、カスタの連打音などが複合的に絡みあう華麗なサウンドをバックに中島みゆきの存在感のあるヴォーカルが映えます。メロディの出来の良さもありますが、史上屈指の厚い音壁をバックにしても全く引けを取らない彼女の歌声は流石の一言。

そして圧巻なのは、間奏のピアノの切なくも深く心を打つフレーズ。基本はオリジナルを踏襲していますが、迫力のあるドラムやベースの重低音、流麗なストリングスなどの豪勢なウォール・オブ・サウンドを伴い、その相乗効果により実に力強く、華麗に、綺麗に鳴り響きます。それは筆舌に尽くし難い感動的な瞬間で個人的には聴くたびに胸に熱いものが込み上げると共に、ビリリと体に電流が流れてしまいます。私の音楽人生はこの間奏を聴く為にあったのか!とすら感じてしまう程素晴らしい出来で、音壁有史以来最大の聴きどころかと思います。(本曲の記事タイトルを「史上最強の」としたのは、ここでのピアノの力強い響き所以です。)

鬼才フィルスペクターにより創生、発展し続けてきたウォール・オブ・サウンド(音壁)ですが、これまで100点満点に近い音壁はあっても、それが100点満点のメロディと結びつくことは有りませんでした。最高のメロディと最高のアレンジが絶妙な相性でピタリと噛み合う、これは技術の進歩という歴史的背景の元、二次創作だからこそ実現出来たことと言えるでしょう。

【 ポップ偏差値 79

The Rubettes / Sugar Baby Love (2023 Wall Of Sound Extended Version)世界初公開! World premiere!



【Original】Composer / Bickerton-Waddington, Arranger / Gerry Shury, Producer / Wayne Bickerton

【2023 Wall Of Sound Extended Version】
  Vocal, Instrument / The Rubettes
  Instrument, Arrange, Produce / @otokabe_master

名曲「Sugar Baby Love」を2023年に新たにウォール・オブ・サウンド・エクステンデット・バージョンとして作成しました。ベースやドラムなど一部楽器の音を削り、幾つかの楽器を新たに足したもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「ウォール・オブ・サウンド・シリーズ」の7番目の作品となります。「YOU TUBE」で聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、こちらでも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

オリジナルは1974年のイギリスのバンド、ルベッツのヒット曲。日本でもたびたびCMで使われる大人気曲ですね。明るく元気一杯で高揚感があって、将に当ブログで取り上げるに相応しいスーパーポップな内容。ファルセット遠吠えにワッシュワリワリ(Bop-Show-Waddy-Waddy)コーラスの爽快感はCMソングにうってつけです。ただでさえポップス史に燦然と輝く超凄ポップな曲ですが、@otokabe_master氏にウォール・オブ・サウンド(音壁)化して頂いたら一体どこまでポップになるのだろう?と期待に胸が膨らんでの音壁化です。ただし残念ながらここまでの全6作品と異なり、今回はヴォーカル、コーラス部分を分離・抽出することが出来ませんでした。低音部分(ベースとドラムス)は分離できたので、低音域では完全新規録音でやりたいことが実現出来たのですが、中音から高音域に関しましては、オリジナルの演奏はそのままに、新たに幾つかの楽器を足す形での音壁化となりました。将来的に更なる技術の進歩により完全な抽出が可能となり、全て新録での100%理想の音壁化が出来る日が来ることを待ちたいところです。

オリジナル自体グロッケンやピアノなど音壁的側面のある曲でしたが、本バージョンでは、更に高音部において鈴やカスタネットなどを大幅に導入してあります。また、低音部はドラムの4つ打ちを8ビートへ変更することにより、カスタネットが際立つように工夫し、更にティンパニを加え迫力ある重低音が楽しめる内容へ。全体として新たに数多くの楽器が加わることによりこの曲の持ち味である爽やかで透明なヴォーカル&コーラスワークが聴こえにくくなった嫌いはありますが(そこを楽しみたい方は是非オリジナルで!)厚みと奥行のあるウォール・オブ・サウンドにより、オリジナルを更なるポップの極みへと昇華させられたのではないかと思います。また、オリジナルではおそらくはラジオでのオンエアを意識してのことだと思いますが、終盤のナレーション後は山場のファルセット遠吠えフレーズが完走されることなく約20秒ほどでフェイドアウトしてしまいます。かなり消化不良な内容でしたので、本バージョンではファルセットフレーズをなんと延々4回、合計2分ほどループさせ、この曲最大の聴きどころをたっぷりと堪能できる仕様と致しました。更にこの終盤部分では、カスタネットの激しい連打が大爆発、これでも食らえ!とばかりに盛り上げるアレンジを追加するなど音の洪水状態。爽やかなファルセット&ワリワリコーラスと共に永遠に聴き続けていたい・・・と思うのはきっと私だけではないはず。是非フルヴォリュームでご堪能ください。

@otokabe_master氏による「史上最高のウォール・オブ・サウンド・シリーズ」は他にもとてつもない作品が複数あります。他にも音源の公開を予定していますので、どうぞお楽しみに。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ楽器瑞々しさボーナス(音壁&二次創作)ポップ偏差値合計
101010878108879


Frankie Valli / Can't Take My Eyes off You (2022 Wall Of Sound Long Version) 世界初公開! World premiere!



【Original】Composer/B. Crewe, B. Gaudio Producer/Bob Crewe Arranger/Artie Schroeck, Bob Gaudio

【2022 Wall Of Sound Long Version】Vocal/Frankie Valli Instrument, Arrange, Produce/@otokabe_master

名曲「Can't Take My Eyes off You」を2022年に新たにウォール・オブ・サウンド・ロング・バージョンとして作成しました。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「ウォール・オブ・サウンド・シリーズ」の4番目の作品となります。「YOU TUBE」でShort Edit版が聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、こちらでも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

オリジナルは4シーズンズのリード、フランキーヴァリによる1967年のヒット曲。secondhandsongsによると396ものカバーが存在する大人気曲ですがウォール・オブ・サウンド(音壁)化でのカバーは皆無のようです。4シーズンズ自体も1964年のRAG DOLLがウォール・オブ・サウンド(音壁)的ですが、本曲は音壁ではありませんでした。然しながらサビではタンバリンが使われるなどかなり音壁が嵌りそうな素材ですし、私も大好きな曲なので@otokabe_master氏に音壁化を依頼致しました。

オリジナルの将に60年代な古めかしいサウンドは味は有りますが、現代でも通用するかと言われればかなり疑問符が付く内容。音壁版では転がるドラムなど60年代の風味を残しつつも現代にも通用する絶妙なアレンジになっています。特に音圧が大きいのが爆音での鑑賞に十二分に対応出来ているかと。これまでの@otokabe_master氏の作品同様ピアノやカスタネット、鐘の音などが中心の音壁ですが、オリジナルと比べかなり華やかな雰囲気になりました。フランキーのリードを盛り立てるカスタネットの音色はオリジナルに入っていても良かったのに・・・というぐらいの相性の良さ。特にこの曲最大の特徴であるキャッチーなサビでのすこし大きめのカスタの音色や音壁群はフランキーのリードの盛り上がりを更に盛り立て抜群の相乗効果となっています。これを聴いてしまうとオリジナルには戻れなくなってしまいそう。

そして圧巻なのは、オリジナルにはなかったインストパート。ここではオリジナル以上に世界的ヒットとなったボーイズタウンギャング版のインストのメロディを流用、追加挿入して頂きました。「君の瞳に恋してる」として日本でもヒットしフリーソウルコンピにも収録された人気曲ですが、ロングバージョンで聴けるインストパートはオリジナルの世界観を踏襲しながらも独自に創造されたメロディ。上品なストリングスで奏でられるメロディは実に清々しく心に沁みる優雅な内容で私も大好きです。軽いディスコサウンドは全く好みではなかっただけに、このパートをフランキーの歌声と繋げて聴けるのは将に二次創作ならではですね。

一回目はサビの終わりと共に消えてしまった力強いカスタの連打がそのまま継続し、華麗に舞い上がるストリングスを伴いこのインストに突入。重厚な音壁をバックにボーイズ版ではストリングスが奏でていたメロディをここではピアノが力強く、優雅に音壁してくれます。音楽万歳!音壁万歳!と叫びたくなる将に超極上のサウンドかと思います。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ楽器瑞々しさボーナス(音壁&二次創作)ポップ偏差値合計
810977101081079


【 ポップ偏差値 77

The Bluebells / I'm Falling (2021 Wall Of Sound Version)世界初公開! World premiere!



【Original】Composer / Hodgens-McCluskey Producer / Colin Fairley & Robert Andrews
【2021 Wall Of Sound Version】Instrument, Arrange, Produce / @otokabe_master

ネオアコファンにも人気のスコットランドのロックバンド、ブルーベルズのギターポップ名曲「I'm Falling」を2021年に新たにウォール・オブ・サウンド・バージョンとして作成したもの。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「ウォール・オブ・サウンド・シリーズ」の2番目の作品となります。

「YOU TUBE」で聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、こちらでも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

オリジナルはギターの刻みとピアノの軽やかな響きが心地よいネオアコ系バラード。恋人への後悔の念が痛々しくも、甘く悲しげなメロディが秀逸な人気曲です。泣きのギターも印象的ですが、個人的にはピアノの切なくも軽やかで感動的な響きにウォール・オブ・サウンド(音壁)的魅力を感じておりました。@otokabe_master氏に作って頂いた中島みゆき / 悪女 (2021 ウォール・オブ・サウンド・バージョン)の素晴らしさに感動し、同じくピアノを主軸としたこの曲の音壁版を是非聴いてみたいという思いから製作を依頼しました。

オリジナルではギターの活躍度が高く、それはそれで非常に魅力的なのですが、音壁的にはギターはそれほど相性は良くないので必要最小限にとどめて頂き、代わりにピアノの軽やかな響きをメインとしたサウンドとなりました。他にもカスタネット、カバサ、鈴の音といった高音域の繊細な響きからベースやドラム、ティンパニなどの迫力のある重低音まで、まんべんなく配された様々な楽器が分厚い音壁となって迫るかなりオリジナルとは異なる内容です。特に力強くメインフレーズを奏でるピアノは、音壁の相乗効果でより劇的に変貌しただけでなく、他にも随所で様々な表情を見せ脇役的にも大活躍します。

そして圧巻なのは、最初の間奏におけるピアノのメインフレーズをサポートするカスタネットの連打音。ここでの重厚な音壁、軽やかなピアノをバックにカスタが力強く鳴り響くことを夢に見なかったネオアコ系音壁者は私だけでしょうか。実に感動的な瞬間でこのバージョンの最大の聴きどころかと思います。後半でもこのコンボがエンディングまで展開されますが、史上最強クラスの良質な迫力ある音壁により、「I Should Have Known Better」と後悔の念を歌うリードの説得力が倍増したと感じますがいかがでしょう。なお、エンディング近くではカスタネットの鳴り方が変化しますので是非ご注目を。

【 ポップ偏差値 75

大滝詠一 / 君は天然色 '81 作曲大瀧詠一 編曲多羅尾伴内

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日本ポップス界の大御所の81年の歴史的金字塔。いわゆる分厚いスペクター系音壁の日本における元祖的曲と考えてもいいんでしょうか?ここで聴ける深く厚い音壁は楽器の進歩した四半世紀たった現在でも全く輝きを失う所がないのだから素晴らしい。その後山下達郎氏、岩崎元是氏といったフォロワーやご自身が20数年たってやっている物と比べても全く遜色無いのだから、その普遍的とさえ言える音造りの妙技は驚異的としか言いようが無い。

聞くところによると海外のスペクターファンなどにも大滝詠一氏の評価は高いらしいです。音壁的側面以外でもこの曲の持つ高揚感ある明るく乾いて弾けた、そしてちょっと甘酸っぱいメロディは実に気持ち良い。音壁的アプローチは他のフォロワー達によってそれを凌駕するものも見受けられるが、この曲の持つ空気感は、その時代性もあって、再現はかなり難しいだろう。最新マスタリングされた「A LONG VACATION 20th Anniversary Edition」にはこの曲のインスト的バージョンも収録されています。

姉萌えエロゲー「ONE☆BOKU」の主題歌「Faraway so close / 吉田裕貴」はこの曲の影響が見受けられます。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(日本版音壁)ポップ偏差値合計
91010788108575


【 ポップ偏差値 74

村田恵里 / オペラグラスの中でだけ (2022 ウォール・オブ・サウンド・ロング・バージョン)



【原曲】作詞/康珍化 作曲/亀井登志夫 編曲/井上鑑 '85
【2022 ウォール・オブ・サウンド・ロング・バージョン】演奏・編曲・プロデュース @otokabe_master

日本アイドルポップ史に燦然と輝く不朽の名曲「オペラグラスの中でだけ」を2022年に新たにウォール・オブ・サウンド・ロング・バージョンとして作成したバージョン。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏製作の「史上最高のウォール・オブ・サウンド・シリーズ」の第3弾となります。オリジナルは当ブログで本家大滝詠一を上回る胸キュン大名作 村田恵里 / オペラグラスの中でだけとして既出ですが、アイドルポップ史でも類まれな素晴らしいメロディを持つ隠れた大名曲。セールス的には全然ヒットしませんでしたが歴戦の洋楽ファンも唸らせるマニア好みの世界的楽曲とも言えるでしょう。その主たる要因は歴史的ウォール・オブ・サウンド 大滝詠一 / 幸せな結末を作り上げた井上鑑氏によるウォール・オブ・サウンド(音壁)的手法にあります。然しながら音壁的にそれほど派手なアレンジにはなっておらず、アイドルポップ向けにマイルドに味付けされたようですね。そこでここは容赦なく全力投球した音壁版を聴いてみたいということで@otokabe_master氏に製作を依頼したという経緯になります。

音壁版ではオリジナルには無かったカスタネットを全編に導入し、ギター部分をピアノに置き換えエコー感を増幅。曲における歌の比重が下がり、ウォール・オブ・サウンドをより堪能出来る内容になっています。そして一番の聴きどころはオリジナルになかったインストパート。アイドルポップ屈指の美メロと言えるAメロ部分が贅沢な音壁仕様でインストとして追加挿入されています。品のあるストリングスをバックにカスタネットの連打が心地よく鳴り響く非常に躍動感のある感動的なパートです。他にもアカペラ的パートが村田恵里の歌唱力の高さをより際立たせるアレンジとなっていて聴きどころは多い。そもそもオリジナル自体が音壁的でしたので、「中島みゆき / 悪女」の音壁版ほど劇的な変化は感じられないかも知れませんが、アイドルポップ史に燦然と輝く不朽の名曲が、より完成度の高い音壁版として生まれ変わった音楽史的意義は大きいと感じております。

岩崎元是 / 勇気のつばさ(off vocal ver.) '16 作曲池毅 編曲岩崎元是



長年に渡り数多くの上質なウォール・オブ・サウンドを作り続けてきた岩崎元是Pによる2016年産音壁インスト。CDシングル「Machico / 勇気のつばさ」に収録。大滝詠一が1997年に井上鑑氏と共に歴史的ウォール・オブ・サウンド「幸せな結末」を作り上げた訳ですが、その大滝氏亡き今、元是Pこそが日本の、否、世界のウォール・オブ・サウンド界をその圧倒的な作品量と質の高さでリードしている唯一無二の絶対的存在だと言えますね。

本曲は既にポップ界の黄金コンビが実現 Machico / 勇気のつばさ として取り上げた曲のインスト(カラオケ)バージョン。個人的にはヴォーカルの声質や歌声が受け入れ難く、折角の元是P渾身の音壁作品でありながら高評価を与えられなかったことを残念に思っていた作品。ここのところ個人的に元是Pのインストバージョンを聴きなおす機会が多かったんですが、その際に改めてこの曲の音壁の魅力に気づいた次第。元是P作品はアニソンが多いということもあって、その作品の質の高さに反し不当に評価や扱いが低いですが、このインストは全くヴォーカルが入っていないということもあって、多くの方が受け入れやすいんじゃないかな?

グロッケンやカスタネット、アコースティックギター等の高音域のシャンシャン感、アコースティックピアノのエコー感、ストリングスの荘厳で華麗な響きに、ドラムやベースの重低音などがバランス良く配備され奥行のある非常に聴き応えのあるウォール・オブ・サウンドが展開されている。ヴォーカルがなくなったことで、どれだけ大音量で聴いても耳障りに感じることなく怒涛の音壁世界に没頭できる感じ。特に2分45秒からの無伴奏でのドラムの連打は圧巻。(池毅氏による濃い目のメロディもヴォーカル無しの音壁インストで真価を発揮した感じ。)フィルスペクター~大滝詠一の流れをくみながら更に音壁を進化させ、2016年時点での音壁最前線にして最良の作品と感じます。個人的格付けとしては音壁偏差値74で「幸せな結末」と同ランクで世界第2位。優れたウォール・オブ・サウンドのインスト版は世界的に著名な指揮者による大編成オーケストラによる傑作クラシックを楽しむが如く大音量で楽しめますね。音壁ファンの方でも、本曲のヴォーカル版を一度聴いてそれっきりという方も多いと思うのですが、是非とも先入観抜きで聴きなおしてみて下さい。

「YOU TUBE」で聴けます。フル・ヴォリュームでご堪能を!

大滝詠一 / 幸せな結末 '97 作曲大瀧詠一 編曲井上鑑



1981年の『A LONG VACATION』、1984年の『EACH TIME』の両作以降オリジナルアルバムの発売の無くなった大滝詠一の晩年のシングルCD曲。「君は天然色」はウォール・オブ・サウンドを代表する金字塔だけど、その質・完成度の高さからか晩年は寡作なアーチストとなってしまい、そしてまだまだ良作を残せる現役状態のまま65歳にして亡くなってしまったのがとても惜しまれます。個人的にはより多くの音壁名曲を残して欲しかった。

その大滝詠一の晩年となる97年の本曲はTVドラマの主題歌であったこともあり、かなりのヒット曲となりました。ウォール・オブ・サウンド色の濃い作品として日本では一番売れた曲かも知れませんね。曲はしっとりとした大人向けバラードで、少し哀し気なメロディはAメロからサビに至るまで流石の出来で作曲家としての大滝氏の力量を今更ながら思い知らされます。ですが本曲の真髄は、それらメロディを盛り上げるウォール・オブ・サウンド的アレンジにこそあります。これは当ブログでは、やはり音壁アイドルポップの金字塔、村田恵里 / オペラグラスの中でだけでも取り上げた井上鑑氏のアレンジ力が大きい。

時折入るカスタネットの効果的で軽快な響き、きれいに澄みきったエコー感のあるピアノの軽やかな音色、品が有り荘厳な雰囲気を醸すストリングス、大滝詠一節炸裂な迫力あるドラムなど。そして最大の聴き所は美しいメロディとそれら器楽が複合的に重なりあった間奏で、更に追い打ちをかけるように重なり響き渡る快活なカスタネットの連打音でしょう。ここでのカスタの連打は音壁史上屈指の心地よさと言えるのでは?因みにサウンド的には大滝詠一、井上鑑両氏の師匠的存在であるフィルスペクターのRonettes / I Wonder辺りに強く影響を受けたものとなっていますので、合わせて聴いてみてください。既に多くの日本人にお馴染みになっている「幸せな結末」ですが、音壁史上に残る歴史的名演でもありますので、是非そのサウンド面に着目したうえで愛聴して欲しいものです。

「YOU TUBE」で聴けます。

【 ポップ偏差値 73

The Beatles / No Reply (2024 Wall Of Sound Extended Version)



【Original】Composer / Lennon-McCartney , Producer / George Martin

【2024 Wall Of Sound Extended Version】
Vocal / The Beatles
Instrument, Arrange, Produce / @otokabe_master

史上最高のロックバンド、ザ・ビートルズの名曲「No Reply」を2024年に新たにウォール・オブ・サウンド・イクステンディド・バージョンとして作成しました。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「名曲のウォール・オブ・サウンド化」シリーズの第8番目の作品となります。

「YOU TUBE」で聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、こちらでも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

オリジナルはビートルズの1964年のアルバム「FOR SALE」収録曲。本国イギリスではシングルカットされておらずビートルズの中では比較的地味な存在。曲も2分15秒と短く全体的にボサノバ調でロック色が比較的薄い作品(そこが魅力でもある訳ですが)。ただしサビの溌剌とした高揚感のあるロック的盛り上がりは流石のビートルズ節という感じです。個人的には初期の大ヒット曲群にも匹敵する魅力的なフレーズかと思いますが、このサビが一度しか登場しない変則的な構成には長年消化不良な気分でおりました。また、手拍子交じりで盛り上がるこのサビがウォール・オブ・サウンド(音壁)と相性抜群であろうことから@otokabe_master氏へ音壁化を依頼することとなった訳です。

音壁版はリンク先の解説にもありますように、約20種もの楽器を重ねた分厚いサウンドが特徴的。軽やかなボサノバ調は影を潜め全体を通してリズミカルなロック調です。すこし快活で明るい雰囲気が加味された感じでしょうか。またウォール・オブ・サウンド仕様ということで、個人的希望もありピアノの少し悲しげな響きも目立つものとなりました。高音域ではフィルスペクターでもお馴染みのスレイベルやカスタネット、低音域ではティンパニなどの迫力ある重低音など、かなりオリジナルとは異なる音の洪水状態ですので、あまり音壁に馴染みのないビートルズファンの方は違和感を覚えるかも知れませんね。

構成としては消化不良だった一度しかなかったサビ部分も三度登場ということで、ジョンの切実な気持ちのこもった激しい歌声が十二分に堪能できるかと思います。そのサビでは、カスタネットが力強く鳴り響き、より切迫感と説得力が増したと感じます。発表から60年後の最新の分厚い音壁をバックにつけても、しっかりと存在感を示すジョンのヴォーカルはやはり素晴らし過ぎますね。なお、新たに加わった間奏ではマージービート風のギターが入り、偉大なるビートルズへの敬意を感じさせます。

@otokabe_master氏による「名曲のウォール・オブ・サウンド化」シリーズは他にもとてつもない作品が複数あります。他にも音源の公開を予定していますので、どうぞお楽しみに。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ楽器瑞々しさボーナス(音壁&二次創作)ポップ偏差値合計
8777791081073


金月真美 / 夏に、まだ少し・・・ 作曲東野美紀 編曲岩崎元是(IWASAKI MOTOYOSHI) '96
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プレイステーション用ゲームソフト「ときめきメモリアルプライベートコレクション」挿入歌。「金月真美 / From the Bests・・・」収録。出だしのピアノの軽快な連打は大滝詠一風。その後ドドンと展開されるナイアガラサウンドは迫力満点。鐘の音、カスタネット、手拍子といった美味しいオカズを散りばめつつ、躍動感のあるエコーのかかったドラム、ピアノの連打といったナイアガラな音壁はファンなら悶絶間違いなしの素晴らしさ。テンポも小気味良く、「空、海、波、風、胸のときめき」などという言葉もさわやかな季節感を感じさせてくれていい。

岩崎元是さん絡みのポップな曲は歌声に難がある場合が非常に多いのですが、この金月真美さんはかなりしっかりした歌声を聴かせてくれるのでアニソン(厳密にはギャルゲーソング?!)ということを意識することなく楽しめ、その意味ではアニソンアレルギーな方にはもってこいな作品。「2002MIX」というのも出ていて、「オケがさらに豪華になりカスタ等の鳴り物が心地良い」とのことです。*元ネタ=「竹内まりや作品全般(「ふたりはステディ」など三連ピアノもの)」、「Roy Wood & Wizzard / THIS IS THE STORY OF MY LOVE(サックス、エンディング部分など)」)
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(爽快な音壁)ポップ偏差値合計
799879109573


【 ポップ偏差値 72

成清加奈子 / ハートのピアス '84 作曲編曲井上大輔

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NHK「レッツゴーヤング」オリジナルソング。明るくポップな曲というタイプの曲ではありませんが、息もつかせぬ切迫感&緊迫感のある展開が素晴らしい曲。出だしなどに使われる印象的なフレーズで聴けるドラムの重低音はエコーも深く迫力満点。フゥーフゥーコーラスやカスタネット、華麗なストリングス等等の厚めのサウンドはかなりフィルスペクター/ナイアガラ系音壁度が高い。

メロディもCメロへと盛り上げていくBメロのラインがとってもスリリングで快感。きっちりと突き抜けきったメロディラインが素晴らしい。それにしても「TELL ME DARLING~♪」以下のサビはまんま何かの曲のフレーズ使ってますね。でもそれが何という曲だか思い出せない~。どなたか教えて下さい。(その後ちびまる子ちゃんのOPテーマ曲 B.B.クイーンズ / おどるポンポコリン とのご指摘を頂きました。)「おしえてアイドル 徳間ジャパン編 初恋進化論」収録。

尚、この曲の当時の動画が「YOU TUBE」などで見ることが出来ますが、残念ながらスタジオ録音版の迫力や緊迫感が全く伝わらない内容になっています。なるべくなら見ないで直接スタジオ録音版を聴くようにして下さい。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(切迫感&緊迫感)ポップ偏差値合計
710988997572


楠瀬誠志郎 / 君と歩きたい '92 作曲楠瀬誠志郎 編曲武部聡志&楠瀬誠志郎 「素晴らしい恋をしよう」収録

KUSUNOSE

「恋はあせらず」トラック名曲の「CRAZY FOR YOU」も収録した92年のアルバム「素晴らしい恋をしよう」に収録されている曲ですが、ここでも大ポップ大会やってます。摩天楼の満天の輝きを思わせる煌めきの分厚いサウンドは限度というものを知らず、ひたすらド派手に作りこまれてます。エコーが深めなのはドラムぐらいだけど、エレピや煌きの装飾音も満載ということでスペクター/ナイアガラ系音壁サウンドと認定してもいいんではないでしょうか?メロディはちょっと泣き節入ってますが、それでもヴォーカルの能天気な声質と相まって全体として乾燥感が感じられて良い。なかなか良く出来たメロディなので静かなバラードタイプの曲でも成功したはずだが、テンポを早め、スーパーハイテンションな曲に仕上げたその心意気、ポップ感覚にシビレます。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(厚い音壁)ポップ偏差値合計
9108788107572


鈴木真仁 / あのね・・・。作曲編曲岩崎元是(IWASAKI MOTOYOSHI) '96 「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ ソングコレクション」収録
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いわゆるフィルスペクター/大滝詠一/ナイアガラサウンド系ポップサウンドの最高峰にして、現在のところ私の知るアニソンポップのナンバーワンソング。岩崎元是作品はその「WALL OF SOUND」的側面では現在の日本において大滝詠一氏と全く互角かあるいはそれ以上の素晴らしいサウンドを聴かせてくれる(ということは世界一?)。然しながら歌い手に恵まれないことが多く、また岩崎元是氏が作曲を手がけずに編曲のみを手がけた作品の場合はそのメロディに不満が残るものも多い。そういった中でこの作品はそういった不満要素が一切入り込まず、全てがうまく噛み合った非常に稀なケースと言える。

メロディはどちらかというとしっとりと湿っぽく、決して明るい曲調ではないが、歌詞との相性はなかなか良くちょっと胸にグッとくる内容。サビから始まる出だしのこみ上げるメロディとともにいきなり全開となる音壁の分厚さとエコーの深さ。気持ちよいシャッフルビートと鈴の音や手拍子、ブレイク部分で聴こえるエレピの心地よい響きや清涼感いっぱいのストリングス。それら全てが一体となって大迫力で迫ってくる様子はまるで全身に音のシャワーを浴びているかのようだ。

私の知る限り現時点で間違いなくアニソン界の王位に君臨するスーパーポップソングで、日本が世界中に声高に誇れる最高の「WALL OF SOUND」だ。岩崎元是さん、素敵な曲をどうも有難う。*元ネタ=「竹内まりや / 色・ホワイトブレンド」
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(爽快な音壁)ポップ偏差値合計
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【 ポップ偏差値 71

Ronettes / I Saw Mommy Kissing Santa Claus '63 「A Christmas Gift for You from Phil Spector」

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史上最高のアルバムは?
で既に取り上げた1963年のフィルスペクター製作のクリスマス・コンピ『A Christmas Gift for You from Phil Spector』収録の音壁曲。発売当時はシングル・カットされていないので企画アルバムの中の一曲ということでポピュラー・ミュージック史的には埋没ぎみの作品だけれど、ウォール・オブ・サウンド的にも、オールディーズ的にも極めて重要な作品。ポップス好きにはアルバムは一定の評価が確立していると思うのだけれど、曲単体としての評価ももっと高まって欲しいですね。

曲のオリジナルは1952年のNorman Luboffでポールアンカ、フォーシーズンズ、ジャクソンファイヴなど実に多くのカバーがあります。もちろんその中でもサウンドに一番力が入っているのはフィルスペクター版。テンポアップし軽快で躍動感のある曲調に変貌させたうえに分厚い音壁仕様なのですから堪りません。間奏のストリングスも優雅で切ないメロディと相まって感動的で、ここだけでも一聴の価値ありって感じ。リードのロニー・スペクターの声も瑞々しく魅力的ですね。ロネッツといえばBE MY BABYなどのシングルカットされた有名曲ばかりが脚光を浴びていますけれどね。個人的にはクリスマスシーズンだけではなく一年中定期的に愛聴しているのだけれども、多くの方にクリスマスの企画曲というくくりではなく、オールディーズ、ポップスの重要曲として愛聴して欲しいものです。

「YOU TUBE」で聴けます。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ器楽瑞々しさボーナス(名曲音壁)ポップ偏差値合計
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岩崎元是(IWASAKI MOTOYOSHI) / 君のいないクリスマス '07 作曲編曲岩崎元是 「FOR A LONG TIME」収録

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アニソンポップ史に燦然と輝く歴史的名曲群「・・・」4部作を残した世界的名アレンジャーの岩崎元是の2007年のアルバム収録曲。ライナーによると89年には既に書かれていた曲で、91年のフジテレビの昼の帯番組のエンディング曲として売られていったとか。(ということは別人による別アレンジのバージョンが存在するということになりますね。)

曲はゆったりとしたクリスマス・バラードで感傷的なメロディが情感深く歌いこまれています。なかなか良く出来たメロディで個人的にも好みのタイプですが、世界的レベルでみれば何千、何万単位で存在するであろうバラード佳曲の一つと言わざるを得ません。然しながら、この曲に施されているクリスマス仕様の音壁=ウォール・オブ・サウンドは、間違いなく今現在世界に存在するウォール・オブ・サウンドの最高峰に位置する、世界一の名アレンジと言うことが出来ます。

季節は冬ということで、細やかなシンセ音で冷やりとした空気感を演出。それでいてエコーのかかったエレピの音色は温かみを感じさせます。更に繊細な弦の音色やエコーのかかった重量感のあるバスドラムなどにより奥行きのある広々とした音空間を形成。サビに入ると雪が降る様を表すかのようにスレイベルがシャンシャンと鳴り響き、クリスマスムードをグッと高めます。そしてそのバックでは甘いエレピの音色が恋人達の幸せな一時を優しく包み込むかのように響き渡ります。このスレイベルとエレピのコンビネーションは本当に素晴らしく鳥肌級に感動的。他にも鐘の音、エレキギターなどを幾重にも厚く重ねたサウンドは将に芸術中の芸術と言ってよく、長年ウォール・オブ・サウンドを手がけてきた岩崎元是流アレンジの現時点での集大成となっています。

ソロ、グループを問わず音楽家ならば誰でも一曲は、上質なアレンジの施されたムード満点のクリスマスソングを持ちたいところでしょうが、そんな時は迷わず、岩崎元是氏にアレンジを依頼される事をお勧めします。

竹内まりや / もう一度 '84 作曲竹内まりや 編曲山下達郎

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英語題「LET'S TRY AGAIN」。山下達郎がサウンドストリートでオンエアしたソウルグループChampaignのTry Againが83年作で、竹内まりやの「LET'S TRY AGAIN」が84年だからタイトルはこの曲からインスパイアされたことが濃厚とみている。曲調は全然違うけどね。

軽やかなピアノの音色と山下達郎の高揚感あるコーラスで始まる明るくポップに弾けまくるこの曲はナイアガラな音壁的にも魅力いっぱいなのだが、竹内まりやの書いたメロディも甘酸っぱい胸キュンもんで素晴らしいネ。この二人のコラボレーションとしては最高傑作と言っていい。瑞々しさもこの頃がピークかな。それと時代的空気感もこの頃でしか有り得なかったという気がしてならない。山下達郎と竹内まりやのナイスな出会いによって生まれた一品。

現役ナイアガラフォロワーの第一人者、岩崎元是作品の「小西寛子 / きっと きっと・・・」はこの曲を元ネタにしているがナイアガラ壁音的には岩崎元是作品の方が数倍分厚く素晴らしいので「もう一度」好きな方は是非お試し下さい。

追記:2014年のSSBでの山下達郎氏のコメント「完全にフォーシーズンズのパターン。フォーシーズンズにトーケンズとハプニングスという胡椒をふりかけてビーチボーイズの匂いを振り撒いた。」とのことでした。具体的に何て曲なのかな。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(高揚感&音壁)ポップ偏差値合計
799779108571


【 ポップ偏差値 70

Ronettes / I Wonder '64 「...Presenting The Fabulous Ronettes Featuring Veronica」



60年代ガールポップ・サウンドの代表的グループにして、ウォール・オブ・サウンドの魔術師フィル・スペクターの手がけた最高の音壁グループとも言えるロネッツの64年の作品。「Be My Baby」、「Baby, I Love You」、「Walking In The Rain」といった有名なヒット曲と違って何故かシングル・カットされなかった不遇な曲です。そういった意味では隠れた名曲と言えるかな。シックスティーズ・ガールポップは好きでもこの曲は知らないという人は意外と多いかも。PHIL SPECTORのベスト作品集なんかでも未収録だったりするし。

曲はスペクターものとしては比較的珍しいスピード感のある作品。音壁もてんこ盛りでカスタネットなどのシャンシャン感、迫力あるドラムの重低音感、ストリングスの優雅さなどが一体となって実に奥行き・拡がり感のある聴き応え十二分な音壁が構築されている。瑞々しいヴォーカルにコーラス陣というガールグループの持つ楽しさも堪能できるし何よりメロディも素晴らしい。ちょっと激しくて一般受けは多少疑問だけど、逆に実に玄人受けしそうな聴き応えのある曲だと思います。(1984年の日本のアイドルポップ音壁名曲「成清加奈子 / ハートのピアス」の元ネタにもなっています。)この頃作られ始めたばかりの音壁だけど、64年にして究極の形態が完成されていたことには驚くばかり。フィルスペクターは個人的に最も尊敬する天才音楽家の一人です。

「YOU TUBE」で聴けます。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ器楽瑞々しさボーナス(音壁)ポップ偏差値合計
888779108570


村田恵里(橋本舞子) / オペラグラスの中でだけ 作曲/亀井登志夫 編曲/井上鑑 '85

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アイドルの歌うバラード系の曲に全く興味が無いので、明るくポップな曲ばかり取り上げている私ですが、あちこち捜し求めてコンピを聴いてますと時折予期せぬバラード系名曲に出会うことがあります。それがこの曲なのですが、ナイアガラ風音壁というほどのものでもないかもしれませんが、それに近いサウンドと大滝詠一的メロディ使いなどがあちこちで聴け、まずサウンド面が素晴らしい。またメロディがそれ以上に素晴らしく、胸をえぐるように心の奥深く突き刺すメロディとそれを淡々と歌い上げる様、その対比でより感情を揺さぶられる妙味がとても感動的です。

バラード系ナイアガラな名曲というと本家大滝詠一の「松田聖子 / 風立ちぬ」が挙げられますが、それを上回る胸キュンメロディを持った隠れた大名曲と言えるでしょう。CD「アイドル・ミラクルバイブルシリーズ 高橋美枝・渡辺千秋・村田恵里 シングル・コレクション」収録。【注意】明るくポップな曲ではありませんのでご注意下さい。

大滝詠一 / BACHELOR GIRL '85 作曲プロデュース大滝詠一 ミックス吉田保 CD「B-EACH TIME L-ONG」収録

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シングルや「EACH TIME」収録の「バチェラー・ガール(4分38秒)」より長い6分32秒ものロング・バージョン。おそらくオリジナル・アルバムには未収録なので聴き逃している人も多いかも。詳細としては元バージョンの前半に約1分30秒、後半に約30秒ものインスト部分が接続されています。

まず前半のストリングスが主旋律を奏でるパートですが、その上品かつ少し物悲しい雰囲気が秀逸。その弦の音色も高音域から低音域に至るまで優雅に伸びやかに響き渡ります。煌びやかな装飾音やエレピのエコー感も加わりとても程良くバランスのとれた音壁サウンド。生音を厚く重ねることの心地よさを心ゆくまで体感出来ます。これはプロ中のプロ、間違いなく世界最高峰の仕事であります。

ヴォーカル・パートに入ってからは、湿っぽいものの胸に沁みる泣きのメロディを大滝詠一が何とも言えない熟成された唱法で歌い上げます。ちょっとヘタウマ入っていて味わい深いですね。その間のバックの音壁も厚く高く、特にここでも要所で鳴り響くエコー感いっぱいのエレピが秀逸。歌の最後は「忘れるさー」と歌詞を途中で端折ったまま終わるという心憎い演出があり、これがメロディの余韻を残し実に効果的。そして更に雷、雨音といった擬音をこってりと挿入し、臨場感を膨らませながら長めにフェードアウトしていくという素晴らしい展開。

こうしてインスト部分が多いバージョンなので、より音壁を堪能出来、さながらレゲエ/ラヴァーズ・ロックのダブが接続されたロング・バージョンのような味わいがありますね。是非とも大型スピーカー・システムの程よい爆音で細やかな音の響き、振幅を楽しんで頂きたい逸品です。【注意】明るくポップな曲ではありませんのでご注意下さい。





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